ノイズをもってノイズを制す:逆説的で新奇な株式リターン予測アプローチ
後藤 晋吾(The University of Rhode Island)
大阪大学 数理・データ科学セミナー 金融・保険セミナーシリーズ 第157回
ノイズをもってノイズを制す:逆説的で新奇な株式リターン予測アプローチ
後藤 晋吾(The University of Rhode Island)
本セミナーでは、株式リターンのクロスセクション予測において、あえて「ランダムノイズを加える」ことで逆説的に予測精度を高めるという新しい手法を紹介します。
高次元の予測問題では従来、Ridge、Lasso、PLS などの正則化手法が用いられてきましたが、Out-of-Sample の R² が負となることも多く、実務的に有効な予測は困難でした。そこで私たちは、ノイズを活用した2つのアプローチ―ノイズ注入法(injection)とノイズ拡張法(augmentation)―を提案し、係数推定の安定化と予測精度の改善を実証します。これらの方法は、機械学習分野で注目される「良性の過適合(Benign Overfitting)」現象と深く関係しており、さらに予測においては疎(Sparse)モデルよりも密(Dense)モデルを支持する新たな潮流にも呼応します。
本研究の主題は、「モデルに戦略的にノイズを加えることで暗黙の正則化が働き、Out-of-Sample予測精度が向上する」という、一見パラドックスのようなメカニズムとその実証的裏付けです。
関連研究として、Liao et al.(2024)のワーキングペーパー Does Noise Hurt Economic Forecasts? は経済予測におけるノイズ拡張法の有効性を示していますが、その理論的説明は平易ではありません。私たちはこの着想を、よりノイジーな株式リターン予測に応用し、実証的に効果を確認しました。さらに、直感的でシンプルなノイズ注入法を提案し、両手法の対応関係を整理しつつ、ノイズの有効性とその含意をできるだけ平易に解説します。
こうした検討を通じて、ノイズが単なる誤差ではなく、予測モデルの構造を改善する「設計要素」として機能し得ることを示します。従来の常識に挑戦するこのアプローチが、高次元金融予測における新たな可能性を拓くことを期待しています。
| 講師: | 後藤 晋吾(The University of Rhode Island) |
|---|---|
| テーマ: | 大阪大学 数理・データ科学セミナー 金融・保険セミナーシリーズ 第157回 |
| 日時: | 2026年06月04日(木) 16:50-18:20 |
| 場所: | 大阪大学豊中キャンパス文法経本館1階多目的室 |
| 参加費: | 無料 |
| 参加方法: | |
| アクセス: | 会場までのアクセスは下記URLをご参照ください。 https://www.econ.osaka-u.ac.jp/access/ |
| お問い合せ: | 本ウェブサイトの「お問い合せ」のページをご参照ください。 |
