大阪大学　数理・データ科学教育研究センター
Center for Mathematical Modeling and Data Science,Osaka University

機械学習を活用する融資判定における公平性とその課題

宇根 正志（日本銀行金融研究所情報技術研究センター 企画役）

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AI・データ利活用研究会 第40回

機械学習を活用する融資判定における公平性とその課題

宇根 正志（日本銀行金融研究所情報技術研究センター 企画役）

　本講演では、金融機関が機械学習を用いて融資の可否を判定するケースを想定し、機械学習による予測・推論の偏りが融資のサービスの公平性に及ぼしうる影響、それへの対策、残されている課題について考察します。まず、融資判定に求められる公平性に関する要件を決定する方法、そして、公平性の要件に基づいて融資判定向けの機械学習利用システムを開発・運用する方法を、機械学習品質マネジメントガイドラインなどを参照しつつ説明します。ただし、公平性をどう捉えるかは個人によって異なる可能性があり、多くの顧客の利用が想定される融資判定において、顧客を含むステークホルダーが合意するように公平性の要件などを決定することは必ずしも容易ではありません。そこで、最後に、こうした課題にどのように対応することができるかについて考察します。
　なお、講演内容は、講演者が執筆したペーパー（宇根正志「機械学習による予測・推論の公平性：金融サービスにおいて求められる配慮とは」金融研究所ディスカッションペーパー、No. 22-J-7、2022年）に基づいています。本ペーパーは、日本銀行金融研究所のウェブサイトに掲載しております。