必修科目(2単位)と選択科目(2単位)から合計4単位以上を修得することにより修了証を授与します。
現代のAI技術をその可能性と限界を踏まえた上で正しく理解し、統計情報を正しく解釈できるデータリテラシーを身に付ける。
文系の学生は実社会の問題解決に数理的思考・手法が有効であることを学び,理系的な発想を加えてデータ・AIを日常生活や仕事等で活用できる能力を身に付ける。
理系の学生はデータ・AIを取り巻く社会的課題を理解し、文系の感性をもって数理的手法を駆使したデータ・AIの利活用を実践できる能力を身に付ける。
数理・データ科学教育研究センター(MMDS)による多彩な学習支援のもと、文系・理系を問わず数理・データサイエンス・AIを実社会データを活用して実践的に学習します。
1. 社会におけるデータ・AI
第4次産業革命によって加速していく社会のデジタル化の現況とSociety5.0の実現によるデータ駆動型社会への構造変革、およびその中でデータ・AIが果たす役割について学ぶ。また、ビッグデータを利活用するためのデータサイエンス技術により新たなビジネスやそれに付随する新たな価値・サービスが創出されている現況について、日常生活で享受している事例を通して理解する。さらに、ビッグデータとともに計算機の処理性能の向上を基盤として進化し続けているAI技術について、その利活用の具体例とともに、今後の社会生活をどのように変えていくことになるのかを学ぶ。
2. 社会で活用されているデータ
現在利用されているビッグデータの代表例として、政府統計ポータルのe-Statから入手することのできる調査データおよびセンシング・ネットワーク技術に基づくIoTデータを取り上げ、どのようなデータが取集され、それらが国・自治体・民間でどのような用途に活用されているかを理解する。そしてこれらのデータの比較を通して構造化データと非構造化データの違いを理解し、画像・音声・テキストデータ等の非構造化データに対する適切な処理手法について学ぶ。さらに、データ・AIによる課題解決の実例として、購入データと推薦システム、ビッグデータによるスポーツ解析、およびSNSデータと感染病予測等について学ぶ。
3. 様々な領域におけるデータ・AI利活用事例
データ・AI利活用の現場の事例として、マーケティング・製造・物流・スポーツを取り上げ、各事例においてどのような価値が創出されているかを知り、価値創出においてデータサイエンスのPPDACサイクルがどのように機能しているかを学ぶ。また、データ解析・可視化および機械学習の基礎を学び、AI技術と意思決定,ロボティックスとAIの最新技術およびAIと医療・臨床現場への応用技術について理解する。さらに、学生自らが社会で使われているデータ・AI技術の具体例の調査とプレゼンテーションを行う。
4. データ・AI利活用における留意事項
データ・AIを利活用する上で知っておくべき倫理的・法的・社会的課題について学ぶ。データについてはその流通と利活用に一定のリスクがあり、適切な管理体制がなければ容易に不正利用されプライバシー侵害等の問題が発生することを理解する。そして個人情報保護に関する欧州の取り組みであるEU一般データ保護規則や本邦の取り組みの改正個人情報保護法について学ぶ。AIの活用については、学習におけるデータの選定において、人種・性別・イデオロギーのバイアスが含まれる場合があり、そのように開発されたAIが現実に問題を引き起こしていることを学ぶ。さらに、内外のAIに関わる倫理的指針、特に本邦で提唱されたAI社会原則を通して、データ・AIの利活用における倫理的課題を理解する。
5. データサイエンスの基本的な手法
政府統計の国勢調査や家計調査を題材として、データの特徴と表現手法および基本的な解析手法を学ぶ。「データを読む」ことに関しては、データの種類,分布と代表値、データのばらつきおよび観測データにおける誤差の扱いについて演習を通して理解する。「データを説明する」ことに関しては、様々な図表表現の特徴と利用法について学び、不適切なグラフ表現の実例を通して適切なデータ可視化の重要性を理解する。「データを扱う」ことに関しては、表計算ソフトを用いた演習を通して、表形式データの基本的な集計・加工について学ぶ。さらに様々なデータの図表表現についても演習を行い、不適切な誇張表現がどのように生成されるかを理解し、統計情報を正しく理解する素養を養う。